
赤ちゃんの成長に伴い、母乳やミルク以外の水分補給として「麦茶」を飲ませる機会が増えてきます。特に離乳食が始まる生後5?6ヶ月頃になると、お出かけや食事の際、ストローを使って上手に飲めるようになると非常に便利です。
しかし、赤ちゃんにとって「ストローで吸い上げる」という動作は、母乳を飲む動きとは異なるため、最初は戸惑うことも少なくありません。どのように練習を始めればよいのか、いつから取り組むのがベストなのか悩む保護者の方も多いでしょう。
この記事では、赤ちゃんが麦茶をストローで練習する際の具体的なステップや、おすすめのアイテム、うまくいかない時の対処法を分かりやすく解説します。赤ちゃんのペースに合わせながら、親子で楽しく水分補給のトレーニングを進めていきましょう。
赤ちゃんがストローで麦茶を飲む練習を始めるには、心身の発達に合わせた適切なタイミングを見極めることが大切です。まずは、一般的な開始時期の目安や、なぜ麦茶が練習に適しているのかを確認していきましょう。
ストロー練習の開始時期として最も一般的なのは、離乳食が軌道に乗り始める生後6ヶ月から7ヶ月頃です。この時期になると、赤ちゃんは唇を閉じて食べ物を飲み込む「嚥下(えんげ)」の力が徐々に備わってきます。
また、離乳食が始まると食事から摂取する塩分が増えるため、水分補給の必要性も高まります。母乳やミルク以外の水分に慣れさせるという意味でも、このタイミングでストローの練習を検討し始めるのがスムーズです。
ただし、発達には個人差があるため、無理に急ぐ必要はありません。赤ちゃんが自分の手で物を掴めるようになったり、大人が飲み物を飲む様子をじっと見つめたりするようになったら、練習を始めてみる良いサインです。
ストロー練習の際、最初の飲み物として麦茶が選ばれるのにはしっかりとした理由があります。麦茶はノンカフェインであり、赤ちゃんの未発達な腎臓に負担をかけないため、安心して与えることができるからです。
さらに、麦茶には適度なミネラルが含まれており、汗をかきやすい赤ちゃんの水分補給に非常に適しています。糖分が含まれていないため、虫歯のリスクを抑えながら、日常的な水分補給の習慣を身につけることができます。
初めて麦茶をあげる際は、苦味が少ない「赤ちゃん用」として市販されているものを選びましょう。大人用の麦茶を薄めて使うことも可能ですが、煮出しすぎによる苦味や濃さには注意が必要です。
赤ちゃん用麦茶と大人用の違い
赤ちゃん用の麦茶は、苦味や雑味が抑えられており、デリケートな胃腸にも優しい設計になっています。大人用を代用する場合は、4?5倍に薄めてから与えるようにしましょう。
練習を始めるにあたって最も重要なのは、保護者の方が「すぐに飲めるようにならなくても大丈夫」というゆったりとした気持ちを持つことです。ストローの感覚を覚えるまでは、中身をこぼしたり、ストローを噛んだりするのは当たり前の光景です。
床が濡れても気にならないようにシートを敷いたり、汚れてもいい服を着せたりするなど、親のストレスを減らす環境を整えましょう。親が笑顔で接することで、赤ちゃんも「飲む練習は楽しいことだ」と感じやすくなります。
また、お風呂上がりや散歩の後など、赤ちゃんが「喉が乾いているタイミング」を狙って練習を行うと、飲み物を吸い上げようとする意欲が湧きやすくなるため、より効果的に進められます。

赤ちゃんがいきなりストローを使いこなすのは難しいため、段階を踏んで練習することが成功への近道です。ここでは、多くの家庭で取り入れられている効果的なトレーニング方法をご紹介します。
最初におすすめしたいのが、市販の「紙パック入り赤ちゃん麦茶」を使った練習方法です。赤ちゃんにストローをくわえさせ、保護者がパックの側面を優しくギュッと押して、麦茶を口に送り込んであげます。
これにより、赤ちゃんは「ストローをくわえると美味しいものが出てくる」ということを学習します。「吸えば出る」という仕組みを理解させるための、第一歩として非常に有効な手段です。
強く押しすぎると赤ちゃんがむせてしまう原因になるため、最初はほんの数滴、唇を湿らせる程度の力加減から始めてください。少しずつコツを掴んでくると、自然に自分から吸い込もうとする動きが見られるようになります。
紙パックでの練習に慣れてきたら、専用の「プッシュ式ストローマグ」を活用しましょう。これは、蓋の部分に付いているボタンやシリコン部分を押すことで、中の飲み物がストローを通って上がってくる仕組みのカップです。
紙パックと同じ原理ですが、こちらは赤ちゃんが自分の手で持ち手(ハンドル)を握りながら練習できる点がメリットです。ストローの先が柔らかいシリコン製のものを選ぶと、赤ちゃんの口当たりも良く、拒否反応を減らすことができます。
毎日決まった時間に練習を繰り返すことで、手の動きと口の動きが連動するようになり、次第に保護者が補助しなくても自分で吸い上げられるようになっていきます。根気強く見守ってあげましょう。
もしストローを極端に嫌がる場合は、無理をせず「スプーン」や「スパウト」から始めるのも一つの手です。スプーンで麦茶を一口ずつ口に運ぶことで、母乳以外の味に慣れさせることができます。
スパウトとは、ストローよりも吸い口が幅広く、哺乳瓶に近い感覚で飲めるマグのことです。ストローよりも吸い上げる力が少なくて済むため、低月齢の赤ちゃんでも比較的スムーズに水分補給ができます。
ただし、スパウトを飛ばして直接ストロー練習を成功させる赤ちゃんも多いため、必ずしもスパウトを経由する必要はありません。赤ちゃんの様子を見ながら、最もスムーズに受け入れてくれる道具を選んであげてください。
練習のコツ:お手本を見せる
赤ちゃんは模倣の天才です。保護者が目の前でストローを使って美味しそうに飲み物を飲む姿を見せることで、「自分もやってみたい!」という興味を引き出すことができます。大げさに「美味しいね!」と声をかけてあげるのも効果的です。
練習をスムーズに進めるためには、赤ちゃんにとって使いやすい道具選びが欠かせません。市販されている多くの製品の中から、どのような点に注目して選ぶべきか解説します。
メーカー各社から「いきなりストロー練習ができる」といったコンセプトのマグが販売されています。これらは、前述した「プッシュ機能」が備わっているものが多く、練習初期に非常に役立ちます。
特に、コップの形状に蓋がついたタイプは、パーツが少なく洗いやすいため、衛生面でも優れています。まずは自宅での練習用として、このようなアシスト機能付きのカップを一つ用意することをおすすめします。
ハンドル(持ち手)が斜めに設計されているものや、赤ちゃんが握りやすい太さになっているものを選ぶと、自分で持って飲む意欲をさらに高めることができます。
ある程度自分で吸えるようになってきたら、外出用の「漏れないストローマグ」を検討しましょう。カバンの中に入れて持ち運ぶ際、蓋がしっかり閉まり、倒れても中身がこぼれない構造のものが理想的です。
最近のモデルは、独自の弁の構造により、蓋を開けた時の吹き出しを防止する機能がついたものも多くあります。お出かけ先で服や荷物を濡らしてしまうリスクを軽減できるため、機能性を重視して選んでみてください。
また、素材もプラスチック製だけでなく、保冷機能のあるステンレス製のものもあります。夏場のお出かけには、麦茶の温度を低く保てるステンレス製が重宝しますが、最初は軽いプラスチック製の方が赤ちゃんも扱いやすいでしょう。
毎日使うものだからこそ、お手入れのしやすさは非常に重要なポイントです。ストローマグは、ストロー内部やパッキンの部分に汚れが溜まりやすく、油断するとすぐにカビが発生してしまいます。
購入前に、「パーツを細かく分解できるか」「食洗機に対応しているか」「煮沸・薬液消毒が可能か」といった点を確認しましょう。複雑すぎる構造のものは、毎日の洗浄が負担になりやすいため注意が必要です。
消耗品であるストロー部分だけを別売りしているメーカーを選ぶと、汚れが気になった時にすぐに交換できるため、長く清潔に使い続けることができます。
ストローブラシの活用
ストローの内部はスポンジだけでは洗いきれません。専用の細い「ストロー洗い用ブラシ」を一つ持っておくと、内部の茶渋や汚れをしっかり落とすことができ、衛生的です。
練習を始めても、なかなか飲めるようにならないことはよくあります。赤ちゃんがストローを拒否したり、上手に飲めなかったりする時の主な原因と解決策をまとめました。
赤ちゃんが力一杯吸い込みすぎて、一度にたくさんの麦茶が口に入り、むせてしまうことがあります。これは、まだ吸う力の加減が分からないことが原因です。この場合は、一度に飲み物が出すぎない「流量調節機能」がついたストローを検討してみてください。
また、吸い込んではいるものの、飲み込まずにダラダラと口から出してしまうこともあります。これは「吸う」ことには成功していますが、「飲み込む」タイミングが掴めていない状態です。
この段階まで来れば、あと一歩です。「ごっくんしてね」と優しく声をかけながら、少量の練習を繰り返しましょう。飲み込めた時には、しっかりと褒めてあげることで、赤ちゃんの自信に繋がります。
多くの赤ちゃんが通る道なのが、ストローを「歯固め」のように噛んで遊んでしまうことです。特に歯が生え始めている時期は、歯茎がむずがゆく、シリコンの感触が心地よくて噛むことに夢中になりがちです。
噛んでいるだけで全く飲まない時は、無理に続けさせず、一度マグを下げて様子を見ましょう。遊んでしまうのは「お腹が空いていない」「喉が乾いていない」というサインでもあります。
しばらく時間をおいてから再開するか、前述の「プッシュ法」で、噛んでいる隙間に少しだけ麦茶を送り込んでみてください。「噛む場所ではなく、飲み物が出てくる場所」であることを再認識させてあげましょう。
ストローの動作以前に、麦茶独特の香りや味が苦手で拒否しているケースも考えられます。ずっと母乳やミルクの甘い味に慣れていた赤ちゃんにとって、麦茶の香ばしさは新しい刺激です。
もし味を嫌がっている様子なら、麦茶をさらに薄めてみたり、温度を変えたりしてみましょう。人肌程度の温度を好む子もいれば、少しひんやりしている方が飲みやすいと感じる子もいます。
どうしても麦茶を飲まない場合は、白湯(お湯を冷ましたもの)でストロー練習を行うのも一つの方法です。まずは「ストローで飲む」という動作をマスターしてから、徐々に麦茶の味に慣らしていくという順番でも全く問題ありません。
| 困った時の症状 | 考えられる主な原因 | 試してみたい対処法 |
|---|---|---|
| むせてしまう | 吸う力が強すぎる | 逆流防止弁付きや細めのストローを使う |
| 噛んでしまう | 歯茎の違和感・遊び | プッシュ法で飲み物が出ることを教える |
| 口から出す | 飲み込む動作が未熟 | 少量をスプーンで飲ませて嚥下を促す |
| マグを投げ出す | 興味がない・満腹 | 練習を中断し、お風呂上がりなどに再挑戦 |
赤ちゃんが口にするものだからこそ、安全性と衛生面には細心の注意を払いたいものです。安心してストロー練習を続けるために、親が気をつけるべきポイントを確認しておきましょう。
ストローで飲んでいる時、赤ちゃんの口の中にある食べかすや唾液が、ストローを伝ってマグの中に逆流してしまうことがあります。これにより、容器の中で細菌が繁殖しやすくなります。
「もったいないから」と、飲み残した麦茶を数時間放置して再度与えるのは避けましょう。一度口をつけた麦茶は、その都度新しく入れ替えるのが基本です。特に夏場や暖房の効いた室内では傷みが早いため、こまめな交換を心がけてください。
練習初期は一度に飲む量が少ないため、少量をこまめに作るか、市販の小分けパックを利用すると無駄が少なくて済みます。
ストローの内側は湿気がこもりやすく、カビの温床になりがちです。使用後はできるだけ早く分解し、専用ブラシを使って内部までしっかり洗いましょう。洗った後は、風通しの良い場所で完全に乾燥させることが重要です。
また、シリコン製のパーツは長く使っていると劣化し、細かい傷に汚れが入り込むようになります。3ヶ月程度を目安に予備のパーツに交換するのが理想的です。
特に、飲み口を噛み切ってしまうと誤飲の恐れがあるため、亀裂が入っていないか毎日チェックする習慣をつけましょう。異常を見つけたら、すぐに新しいものに取り替えてください。
麦茶の原料は大麦ですので、基本的にはアレルギーが出にくい飲料とされています。しかし、極めて稀にアレルギー反応が出る場合もあるため、初めて与える際は小さじ1杯程度から始め、数時間は赤ちゃんの様子を観察しましょう。
また、自宅で作る麦茶(水出し・煮出し)の場合は、保存期間にも注意が必要です。冷蔵保存でも2日以内には使い切るようにし、赤ちゃんに与える分は常に鮮度の良いものを用意してください。
作り置きが不安な場合や、お出かけの際は、ペットボトルや紙パックのベビー専用麦茶を利用するのが最も安全で確実です。状況に合わせて、手作りと市販品を上手に使い分けましょう。
注意したいポイント:はちみつは厳禁
麦茶に味をつけようとして、はちみつを混ぜることは絶対にやめてください。1歳未満の赤ちゃんにはちみつを与えると、乳児ボツリヌス症を発症する恐れがあります。麦茶は何も加えず、そのままの状態で与えましょう。

赤ちゃんが麦茶をストローで飲めるようになるまでの道のりは、一人ひとり異なります。生後6ヶ月頃から練習を始めるのが一般的ですが、焦らずに赤ちゃんの成長ペースを見守ることが何よりも大切です。
最初は紙パックを軽く押してあげる「プッシュ法」から始め、ストローをくわえると飲み物が出てくるという感覚を教えてあげましょう。噛んで遊んでしまったり、口から出してしまったりしても、それは成長の過程です。汚れても良い環境を整えて、笑顔で練習に付き合ってあげてください。
道具選びでは、練習用のプッシュ式マグやお出かけ用の漏れないマグ、そして何より洗浄しやすく衛生的なものを選ぶのがポイントです。毎日のお手入れをしっかり行い、清潔な状態で水分補給をさせてあげましょう。
ストローで上手に麦茶が飲めるようになると、お出かけの際の荷物が減り、赤ちゃんの自立心も育まれます。親子でコミュニケーションを楽しみながら、一歩ずつストロー練習を進めていってくださいね。